先日、とある方(以下Tさん)からブログにメッセージを頂いた。生駒の山の登山道の整備をボランティアでやっている方で、一昨年の台風以後回復の気配がない京都北山の登山道の様子を見て力になりたいという思いを持たれたという。突然のことで、なぜ私に?とも思ったし、北山ではあまり至れり尽くせりの整備は好まれないだろうなあという考えもあって戸惑っていたが、場所によってはそうも言っていられないほどダメージが大きいのも事実、せっかくの機会なのでお願いしてみることにした。
重要な登山道なのに未だ通行に難儀するところ…というと雲ケ畑の直谷周辺が思い浮かぶ。実際に自分が見た倒木注意箇所をマークした地図をTさんに送付しておき、本日整備の下見で案内することになった。
直谷周辺倒木マップ(緑)
北大路のバス停にはこの時期珍しく大勢の登山者が並んでいて、後発の臨時タクシーになってしまった。Tさんは車で来られるものと思っていたら今日は同じバス利用だったようで、さらに2台ほど後のタクシーで到着された。林道を歩きながら話を聞くと、ヤマレコ経由で私のブログに辿り着いたそう。現在ヤマレコは実質引退しているようなものなので珍しいケース。北山はこの冬に雪の鞍馬山周辺を歩いただけだということで、そこから今回の整備作戦を提案されるのだから素晴らしいボランティア精神でいらっしゃる。
今日は直谷上流の細ヶ谷へ入り、小豆坂から滝谷峠を経て二ノ瀬ユリで下山する算段になった。Tさんはノコギリで登山道に飛び出た倒木や枯れ木の枝をどんどん取り払っていく。私自身は肝心な日にノコギリを忘れてしまったので、切り落とされた枝を脇へ放り投げるぐらいしかやっておらずお恥ずかしい限り。Tさんは大型のバールもお持ちで、これが大きめの杉の倒木を動かしたり意外と役立った。休憩に立ち寄った北山荘の手前の木橋は横に傾いていて二人とも足を滑らせてしまったので、平行にする作業にもバールが活躍した。
北山荘から
倒木の集中する箇所のうち、細ヶ谷入り口付近と小豆坂の滝谷峠側は処理できそうということだったが、小豆坂の細ヶ谷へ下りる側は無理という結論になった。ここは、元々の道より南の鞍部を登れば簡単に倒木地帯を迂回できる(上の地図の赤線)のでそこに道ができればと思う。滝谷峠の登り道は元々荒れ気味だったので心配していたが、倒木は峠の手前に少し見られるぐらいだった。
小豆坂の倒木迂回ルート
前半は霙が降る天気であったが午後には次第に晴れて二ノ瀬ユリを3時過ぎに下山した。Tさんは今日も直径20cmを超えるような杉の倒木にノコギリで挑むエネルギッシュな方であったが、3月にはチェーンソーも持参して大型の倒木も処理してくださるという。御助力に感謝いたします。
福寿草
コメント
コメント一覧 (5)
とうげみちさんにお声がかかったのもわかる気がします。
真摯に京都北山を歩いての報告は若さにあふれています。
おそらくこの若者ならボランティアの精神を理解してくれるだろうの
思いからお声がかかったのだと思います。確かに京都北山は近畿の山歩き
をする人にとりましては京大今西先生から引き継がれたステータスみたいなものが
あります。最近あまり入られなくなりました。バスの運行の問題もあり
又整備の行き届かないルートはオヤジのような初心者にはむつかしいので
ついつい歩かなくなっているのでしょう、今後のとうげみちさんなど若手の方がどんどん入られることを切に願います。京都北山テクテク隊初心者洛西オヤジ。
とうげみち
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同行のTさんは年配の方ですが私より元気に見えましたよ。こうありたいものです。
確かにバスの便は悪くなる一方ですね。お隣の桟敷ヶ岳などは関西百名山に選ばれているせいか、まだ人気を維持していて倒木が片付くのも早かったようですがこちらは少し寂れた感じがします。魚谷山のルートは私の北山歩きにとっても原点なので、これからも親しまれる登山道であってほしいです。
とうげみち
がしました
コメントありがとうございます。
ボランティアをする理由と思考
○しないで後悔するより、する事で満足感を得ることのほうが大きい
○自分が 通した道を、誰かが通ってくれ事で その人の笑顔が浮かぶ
○次に自分が通り やって良かった 幸福感倍増
北山フリークの方々、登山道が、復活し益々好きになればと 思います。
とういげみちさんの 倒木、地形 ルート把握力と、私のおせっかいボランティア力 1プラス1=2プラスαになるかな?
とうげみち
がしました
実は、このコース、あきらめていたのです。
2年前、魚谷山から下ってきて、二ノ瀬ユリに抜けようと思ったのですが、この倒木群にぶち当たり、ああ、直谷、小豆坂は死んでしまったのかと思ったのですが。
このコースが通れないため、魚谷山前後、滝谷峠前後の道が荒れていってます。
私は、魚谷山の南尾根から登るという、新コースを開拓しようと思ったのですが、降り方が無くなっていました。
京都の岳人を育てたこのコースです。
何とか蘇ってほしい。
今の日本の林業政策では、林業従事者による復興は極めて難しいです。
ボランティアの方々の協力は実に貴重です。
ほんとにありがたい取り組みです。
とうげみち
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私も昔から歩いている思い入れのあるコースなので同じ思いです。
この記事の投稿後に哲郎さんや小てつさんから連絡があり、倒木といえども売り物の植林なので許可をもらわないと本格的な整備はできないということでした。雲ケ畑の林業組合に確認したのですが、怪我のリスクも考えると素人には任せられないという返答で、山岳団体か、地主さんと個人的に繋がりがない限り大がかりな作業は難しそうです。
ただ直谷の側は雲ケ畑の管轄ではないそうで、確かに松尾谷の林道は奥まで車が入れる状態にしてあるのに直谷は今年になっても放置状態です。登山道部分はこの記事のTさんと一緒にできる限りの手入れをしてみました。再び歩かれるようになりつつあって、細ヶ谷については倒木地帯の中にも踏み跡が分かるようになってきました。景観はひどい有様ですが、なんとか登山道として利用可能なレベルには回復してきたかと思います。
新型コロナウイルスの影響で登山にも厳しい目が向けられるようになりました。登山での感染リスクはやり方によっては限りなく小さくできるので考え方は人それぞれですが、私は京都府が最大警戒状態にある現状では控えています。自粛要請が緩んでくればまた北山を歩いて、登山道の維持にも役立ちたいと思っています。
とうげみち
がしました